配信や収録をこれから始めたい方はもちろん、すでに始めているビギナーにとっても、『AT2020』のような本格的なマイクは自分の声や楽器の音をクリアに収録するための選択肢のひとつです。さらに一歩上のクオリティを目指すなら、マイクを支える「アクセサリー」に目を向けてみませんか?
不要なノイズを抑え、快適な収録環境を整えることで、音の質感をさらに高めることができます。今回は、あなたのデスクを本格的なスタジオへとアップグレードする、オーディオテクニカのマイクアクセサリーたちをご紹介します。
まずはマイクの「定位置」を決めることから
収録環境づくりの第一歩は、マイクを最適なポジションに安定して設置することです。そのための選択肢が、マイクスタンドとマイクアームです。
デスクの上に手軽に設置したいなら、AT20シリーズ専用設計の卓上マイクスタンド『AT8703』が役立ちます。コンパクトながら安定感のあるデザインで、少し手が触れただけでは簡単に動かず倒れにくい作りです。デスクの限られたスペースを有効活用しつつ、XLRケーブルの取り回しをすっきり見せる工夫もされています。
一方で、ライブ配信やゲーム実況でPCモニターの視界を確保したい、あるいはもっと口元に近い位置にマイクを固定したい方には、低い位置からセッティングできるロープロファイル型のマイクアーム『AT8705』が適しています。カメラに顔が隠れにくく、ゲーム画面や作業画面の視認性が損なわれません。アーム内部にケーブルを収納できるため、デスク周りがすっきり片付きます。耐荷重は約2.2kgで、やや重めのコンデンサーマイクも安定して支えられます。
気づかぬうちに入り込む「振動」というノイズ
マイクの位置が決まったら、次に対策したいのは「振動ノイズ」です。キーボードのタイピングやマウスのクリック、さらには机の上で腕を動かした音や隣室の生活音など、こうした振動はマイクスタンドを通じて伝わり、録音に「ゴソゴソ」「コツコツ」といった不要な低音ノイズを混入させてしまいます。
そんな振動を和らげるのがショックマウント『AT8458a』です。マイク本体を弾性素材で吊り下げる構造により、マイクスタンドからの物理的な振動が緩和されます。これにより、声や楽器の原音をよりクリアに録音でき、後処理もスムーズになります。良いテイクが振動ノイズで損なわれるのを防ぐため、重要な役割を果たすのです。
声の魅力を最大限に引き出す、最後の仕上げ
マイクのセッティングが整ったら、いよいよ声の収録です。ここで意識したいのは、「パ」行や「バ」行を発音した際に出る「ボフッ」という破裂音(ポップノイズ)や、息が直接マイクにかかる音の軽減です。これらにはポップフィルターやウインドスクリーンが効果的です。
繊細なボーカルやナレーション録りには、ポップフィルター『AT-PF2』がおすすめです。マイクとの間に物理的なフィルターを設置して息の直撃を和らげるため、音のクリアさが感じられます。ショックマウント『AT8458a』に直接取り付けられる設計でセッティングもしやすいのが特長です。また、フィルターがあることでマイクとの距離を適切に保ちやすく、安定した収録につながります。
もっと手軽にポップノイズ対策や、マイクをホコリや湿気から守りたいなら、ウインドスクリーンが便利です。AT2040シリーズ専用の『AT8176』や、AT20シリーズのサイドアドレスマイクにぴったり合う『AT8178』は、マイクの収音部にかぶせるだけの簡単装着です。ポップノイズの軽減に加え、マイクユニットの保護も期待できるため、普段使いにもおすすめです。純正品ならではのフィット感で、デザインを損ないません。
良い音は良い環境から。少しずつアクセサリーを揃えながら、自分だけの理想の録音空間を作ってみてはいかがでしょうか。

Words: Kosuke Kusano
Photo:Soichi Ishida