最近はレコード人気の再燃もあり、アナログでDJを始める人が増えています。クラブでフロアを盛り上げる姿に憧れ、「自分もレコードでDJをやってみたい」と感じたことがある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、レコードでDJを始めたい初心者の方に向けて、まずそろえたい基本的なアナログ機材と、その特徴や選び方をわかりやすくご紹介します。
今、あらためてレコードDJが注目されている理由
PCやデジタル機材が主流となった現在でも、レコードを使ったDJプレイを選ぶ方は少なくありません。その背景には、音の質感や、レコード特有の「手で扱う感覚」への魅力があります。
レコードから再生される音には、柔らかさや奥行き、ぬくもりのようなものが感じられます。さらに、ジャケットから盤を取り出してターンテーブルに置き、針を落とすという一連の動作自体が、音楽と向き合う時間を豊かにしてくれます。
また、レコードを手で操作しながら曲をつないでいくDJプレイは、聴覚だけでなく視覚的にも楽しめる表現のひとつです。
レコードDJを始めるために必要な機材
アナログDJを始めるにあたり、最低限必要な機材は以下のとおりです。
- ターンテーブル2台+DJ用カートリッジ2本
- DJミキサー1台
- ヘッドホン1台
- 接続ケーブル
それぞれの役割や選び方のポイントを見ていきましょう。
ターンテーブル(+カートリッジ)
レコードを再生するための機材で、「レコードプレーヤー」と呼ばれることもあります。DJ用途には、ベルトドライブ式ではなく「ダイレクトドライブ式」を選ぶのがおすすめです。
ダイレクトドライブ式はモーターの軸で直接プラッターを回転させる仕組みで、立ち上がりが早く、スクラッチやテンポ調整もしやすくなります。
また、音の信号を読み取る「カートリッジ」は、ターンテーブルに付属している場合もありますが、音質や使い心地にこだわる場合は別売りの製品を選ぶのもおすすめです。とくにDJプレイを前提にするなら、針飛びしにくく、スクラッチやミックスにも適したDJ用カートリッジを選ぶようにしてください*。
*オーディオテクニカのカートリッジにはDJ向きのものがなく、 製品付属のカートリッジはすべてリスニング用です。 破損に繋がるので、 DJプレイに用いる際には別途専用のカートリッジをご用意ください。

DJミキサー
DJミキサーは、2台のターンテーブルから出る音をまとめて、ひとつの流れとして再生するために必要な機材です。再生中のレコードと、次にかけたいレコードの音を切り替えたり、音量のバランスを調整したりする役割を持っています。たとえば、次の曲を徐々に重ねていきたいときや、前の曲の終わりに合わせてスムーズに切り替えたいときなど、ミキサーを使うことで自然なつなぎ方ができるようになります。
多くのミキサーには「クロスフェーダー」と呼ばれる横長のつまみが付いています。これを左右に動かすことで、2台のターンテーブルの音を直感的に切り替えたり、重ねたりすることができます。また、それぞれのターンテーブルからの音には個別のフェーダー(縦長のつまみ)やイコライザー(低音・中音・高音の調整)が用意されており、音の出方を細かくコントロールできます。
ミキサーを選ぶ際は、ターンテーブルを2台つなぐ前提で「2チャンネル対応」のモデルを選びましょう。アナログDJを始めるうえでは、それが基本のスタイルになります。

ヘッドホン
次に再生する曲をモニタリングしたり、テンポを合わせたりする際に欠かせないのがDJ用のヘッドホンです。
密閉型で遮音性に優れたモデルを選ぶと、外音を気にせず細かい音の確認がしやすくなります。ハウジング部分が回転するタイプなら、片耳だけで聴くモニタリングスタイルにも対応しやすく便利です。
「DJ」と聞いて、片耳にヘッドホンを当てている姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。このスタイルは、片耳でフロアに流れている音を確認しながら、もう片耳では次に流す曲を聴いてテンポやタイミングを合わせるために行われています。ヘッドホンを使いこなすことは、スムーズなミックスや盛り上がる展開をつくるうえで、とても大切なポイントになります。
接続ケーブル
各機材を正しく接続するために、用途に合ったケーブルも必要です。たとえば、ターンテーブルとミキサー、ミキサーとスピーカーをつなぐには、それぞれの端子に対応したケーブルを用意します。
RCA、XLR、1/4インチ(フォン)など、機材によって使えるケーブルの種類が異なりますので、事前に確認しておくと安心です。

アナログ機材とともに、自分だけのプレイを始めよう
レコードを使ったDJは、ただ音楽を流すだけではなく、音を選び、つなぎ、空気をつくっていく表現です。手を動かしながら曲の流れをコントロールする体験は、まるで音楽を演奏しているかのような感覚をもたらしてくれます。
デジタルでは味わえないアナログの魅力が、そこにはあります。今回ご紹介した機材を参考に、まずは自宅での練習から始めてみてはいかがでしょうか。
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Edit: Tom Tanaka