ターンテーブルを自在に操り、フロアを盛り上げるDJは、クラブイベントなどにおける最重要人物です。目の前のターンテーブルに向かい、忙しそうに手元を動かしている姿を見かけますが、このときDJはいったい何をしているのでしょうか。

今回はそんな疑問にお答えすべく、プレイ中のDJが行っている動きについて詳しく解説します。

そもそも「DJ」とはなにか

DJは「ディスク・ジョッキー(Disk Jockey)」の略称です。さまざまな定義がありますが、一般的には「クラブイベントなどでターンテーブルを使って音楽をかける人」といったイメージが定着しています。こうしたスタイルのDJは「クラブDJ」とも呼ばれます。

DJの役割は、フロアの雰囲気に合った音楽を選曲し、絶え間なく音をつなげてオーディエンスを盛り上げることです。また、ライブステージなどで、ターンテーブルを用いてシンガーやラッパーを音響面でサポートする役割もあり、こちらは「バックDJ」と呼ばれることが一般的です。

なお、DJは大きく「アナログDJ」と「デジタルDJ」の2つに分けられます。アナログレコードを使ってプレイするのがアナログDJ、デジタル化された楽曲データを用いるのがデジタルDJです。デジタルDJの中には、「DJコントローラー」と呼ばれる専用機材を使って音をコントロールするスタイルもあります。

デジタル機材やソフトウェアの進化により、DJプレイのスタイルも年々多様化しています。PCDJやスマホアプリの普及に加え、最近ではAIによる自動ミックス機能なども登場し、初心者でも手軽に始められる環境が整いつつあります。

とはいえ、クラブでターンテーブルを操るDJの基本的な動きには、今も変わらぬ魅力があります。フロアの空気を読みながら手元で音を操る、そのライブ感は、やはり現場でこそ味わえるものです。

クラブDJがターンテーブルを使ってやっていること

それでは、クラブDJがターンテーブルを使って具体的に何をしているのか、主な動きに着目しながら見ていきましょう。

【1】楽曲の再生

DJの基本的な役割は、フロアの雰囲気に合った音楽をかけることです。そのために使用されるのが、ターンテーブルやDJコントローラーといった再生機器です。DJは、楽曲を再生するだけでなく、次にかける曲の選曲もリアルタイムで行っています。

アナログDJの場合は、かけたいレコードをプラッター(ターンテーブルの回転部分)にセットし、針を盤面に落として再生します。デジタルDJの場合は、DJコントローラーを使ってパソコンやUSBメモリー、CDなどから楽曲データを読み込み、音を出します。

近年ではストリーミングサービスと連携したDJソフトも登場し、自宅での練習やオンライン配信を中心に活用されるケースが増えています。クラブ現場では引き続きローカル音源が主流ですが、柔軟に使い分けるDJも見られるようになってきました。

【2】ミキシング

DJプレイでは、音楽を途切れさせることなく流し続けることが重要です。そのため、次の曲を自然につなぐ「ミキシング(ミックス/つなぎ)」という作業が欠かせません。

一般的に、DJは2台のターンテーブルを使用し、それらを「DJミキサー」と呼ばれる機材でつないでいます。ミキサーを操作しながら、音量やテンポ、ピッチなどを調整し、楽曲同士の切り替えをスムーズに行うのです。

2台のターンテーブルの間に設置されているのが「ミキサー」。つまみやボタンにはそれぞれ音を調整する機能が割り振られている。
2台のターンテーブルの間に設置されているのが「ミキサー」。つまみやボタンにはそれぞれ音を調整する機能が割り振られている。

また、「イコライザー」と呼ばれる機能で、低音・中音・高音といった周波数帯を細かく調整することもミキシングの一部です。DJがミキサーのつまみを頻繁に操作しているのは、こうした微調整を行っているためです。

【3】スクラッチ

スクラッチとは、ターンテーブルに載せたアナログレコードを手でこすり、独特の音を出すテクニックのことです。レコードを逆回転させることで、楽曲が逆再生されているような音を生み出したり、前後に動かしてノイズのような効果音を加えたりと、プレイにアクセントを加える演奏技法のひとつです。

スクラッチでは、「クロスフェーダー」と呼ばれるミキサーのつまみを使って音を切り替えながら、レコードを操作することで、キレのある音を生み出します。

左手で摘んでいるつまみが「クロスフェーダー」。
左手で摘んでいるつまみが「クロスフェーダー」。

なお、スクラッチはすべてのDJが行うものではなく、こうしたパフォーマンスに特化したDJは「ターンテーブリスト」と呼ばれることもあります。

【4】ヘッドホンでのモニタリング

「DJといえばヘッドホン」というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。実際、DJはプレイ中、片耳にヘッドホンを当てて操作していることがよくあります。

ヘッドホンでのモニタリング

これは、フロアに流れている音と、次にかける楽曲をヘッドホンで事前に聴き比べて、テンポを合わせたりミキシングの準備をしたりするためです。ターンテーブルやミキサーを操作しながら、次の展開を常に考えているのです。

クラブDJは音楽を繋げつつ、いろいろな音の調整をしている

知っているようで意外と知られていないDJという役割。ブースの中では、DJがターンテーブルを使ってさまざまな作業を行っているのです。

DJの動きや音のコントロールについて知ることで、音楽の楽しみ方もきっと変わってくるはずです。アナログレコードやターンテーブルに興味を持っている方は、まずはDJという存在への理解を深めてみるのも面白いかもしれません。

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Edit:Tom Tanaka

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